
ハロファミ×ハナソラボ CM制作優秀賞記念 子ども記者体験会を開催!
コクヨの家族見守りサービス「ハローファミリー」。このコラムでは、ハロファミ開発チームが、仕事に、学びに、遊びに奮闘中の親子を応援するため、子育てにIoTデバイスを取り入れるメリットや、効果的な使い方を専門家にうかがいます。
今回は、三鷹市立第三小学校の山下徹先生に会いに行きました。ハロファミチームは、現在、総合的な学習の時間における「産業プロジェクト」 にて、5年生の皆さんと一緒に「新商品のデザイン」に取り組んでいます。子どもたちの目線で、 ハローファミリーブランドにどんな製品があるとよいかを考えてもらっています。ハロファミチームが継続的に講師としてうかがい、ワークショップなどを開催、2月には最終プレゼンがあります。 よいアイデアがあれば、もしかしたら製品化もありえるかも?!子どもたちが何事にも好奇心いっぱいに取り組む姿から、ハロファミチームもたくさん学ばせてもらっています。
三鷹市立第三小学校教諭。食品会社の営業職から転身、2011年から教員になる。社会人経験を活かし、さまざまな企業とコラボレーションした「総合的な学習の時間」に取り組んできた。その取り組みは、探究型学習の実践モデルとして注目されている。メディア取材も多数。「いちばん理想的な授業は、先生が何もしないこと」と語る山下先生は、子どもが自分で気づき、考える場づくりを何よりも大切にしている。そして、子どもたちには社会を変える力があること信じている。
山下先生(以下、山下):今日は、KOKUYOの人たちが来るから、聞きたいことがあったら何でも聞いていいよと言っておきました。
ハロファミ:はい、すごい熱量でいろんな子が質問に来てくれてうれしかったです。ついつい、難しいことまで話してしまったのですけれど……伝わりましたかね。
山下先生:きっと、大丈夫です。難しい話でも、自分が知りたいことだったら、不思議と子どもって理解するんですよね。肝心なことは子どもにちゃんと伝わると僕は思っていて。
ハロファミ:2024年5月からスタートした「産業プロジェクト」ですが、ここに参加できて本当にありがたいと感じています。子どもたちの生の声を聞けることはこのプロジェクトの魅力の一つですが、それ以上に「うちの子にもこんなふうに学んでほしい」と母親の1人として心から思ったんです。我が子の小学校にも「産業プロジェクト」を提案したくらいです。
山下:企業と学校がコラボレーションする場は増えてきていますよね。とはいえ、会社や製品の説明で終わってしまうこともあって。企業のみなさんが、子どもと一緒に学ぶ場であるという意識を持って参加してくださるとより意味のあるコラボレーションになると思うんです。ですから、ハロファミチームのみなさんが、そのように言ってくださるのはとてもありがたいですし、これからの授業がますます楽しみです。
ハロファミ:山下先生は、このプロジェクトから、子どもたちにどんなことを学んでほしいですか?
山下:子どもたちを「本物」に出合わせることが大事だと僕は思っています。本物というのは、みなさんのように現場でアイデアを出し、形にするために奮闘している本物の社会人という意味です。仕事の中では、自分の考えた通りには簡単にはうまくいかないことがあったり、世の中の商品はこんなに深く考えられているんだということを、みなさんの言葉から子どもたちは実感していると思うんです。その実感を持って「社会科」を学ぶと深さがまったく変わってくるんです。リアルな実感があってこそ、知識は血肉になると思っています。
ハロファミ:山下先生の「総合的な学習の時間」を見学して驚きました。床に座ってひとりで模造紙に何か書いている子もいれば、友達と相談しながら取り組んでいる子もいる。そして、ただ廊下をうろうろしているような子も……。でも、それぞれのあり方で自由に授業に参加しているのがおもしろいなと思いました。
山下:そうですね。いろんな子がいます。さきほどみなさんのところに質問にきていた女の子ですが、実は、以前は、なかなか学習に積極的に取り組めませんでした。
ハロファミ:そうなんですか。こちらの話を集中して聞いてくれてるな、すごく好奇心旺盛な子だなとは思いましたが……。
山下:はい、好奇心が人一倍強い子で。そして、彼女なりのこだわりもあって。気になることはどうしても知りたい。でも、興味の湧かないことは絶対にやりたくない(苦笑)。 でも、みんなと一緒に学ぶ中で、彼女なりに自分の課題に気づいて、少しずつ変わっていったんです。 同じようにうまく授業に入れない子、コミュニケーションの取り方がわからない子は今のクラスにもいます。個別に何に困っているのか聞くこともあれば、クラス全体で解決策を話し合うこともあります。でも、大切なことは、子どもが自分で課題に気づくことだと思うんですよね。
山下:だから僕は「先生が何もしないのが理想の授業」だと思っています。授業中、僕の発言は長くても10分くらいに留めている。何を学ぶか、どんなふうに取り組むか、自分の課題に自分で気づくことが探究の時間の醍醐味だと思っているんです。そういう授業にできるように、準備は入念にしますね。たとえば、子どもたちがわからないことをすぐに調べられるようにタブレットを常備したり、ポイントになりそうなことをまとめて、先に教室に掲示しておいたり。子どもって「知りたいときにその情報があること」が大事なんですよね。3日後とかだと、もう熱が冷めてしまっている。自戒を込めて言いますが、そうやって、しっかり準備した授業だと、かならず子どもたちは「おもしろい」「楽しい」って言ってくれるし、真剣に向き合ってくれるんですよね。
ハロファミ:たしかに、先生が教壇から説明するとか、板書してノートに写させるような、学校の授業でよく見る光景がほとんどないことに驚きました。子どもたちが自由に考えたり調べたりする中で、全然ちがう方向へ行ってしまうといった心配はないんですか。
山下:45分1コマの授業の中で完結させようとしたら、とてもじゃないけど子どもに任せるのは無理です。だから、僕らは探究の時間を、他の、国語や算数、理科、社会といった一般的な教科の学習時間と連携することで、トータル100時間の枠組みを作ったんです。今年の5年生の探究の時間のゴールは「持続可能性」ですが、通常授業でこのテーマを扱おうとしたら、時間が足りなくて「SDGs」みたいなキーワードを伝えるだけになりがちです。僕はそれをやりたくなくて。ゴールにどうやって辿り着くかは子どもが自分で見つけられると信じているんです。大人が介入しなくちゃいけないのは、時間の余裕がないから。だから僕の仕事は、子どもたちが自分でゴールにたどり着くまで、待ってあげることだと思っているんです。
ハロファミ:たしかに、教科書で「持続可能性」について書かれているのはせいぜい2ページくらい。17個のアイコンがあって、これがSDGsですよって図解があったりして。でも、子どもたちはピンときませんよね。実際の製品やサービスが資源を大切にしながらつくられていることや、次世代のことを考えた仕組みがどういうものかを具体的に学んで、これが持続可能性なんだって実感するほうが心に残りますよね。
山下:そうなんです。大人はもしかしたら最初に大きい概念を見せられたほうが、理解しやすいのかもしれません。でも、子どもは逆のように思います。やっぱり実感が先にないと、知識が入ってこないんですよね。
ハロファミ:「はろぽち」を触りながら「何の素材でできてるんだろう」とか「どうしてこの形なんだろう」って言ってる子がいて。みんな本当にいろんなことに気づくなぁと感心していました。
山下:子どもたちの言葉って、大人のような知識っていうフィルターがないから、ストレートで力がありますよね。僕は、その力が社会を変えることもあると信じているんです。だから、昨年度取り組んだ循環プロジェクトに関わってくださった企業の方が「自分たちのほうが学ばせてもらっている」と言ってくださったのは、すごくうれしかったですね。
ハロファミ:そうですね。子どもたちの持つ素朴な疑問や、純粋な興味にふれて、私たち自身がこの製品を作るときに大切にしたかったことを思い出せています。
山下:ある女の子が、ハロファミの商品の説明を受けたあと、「心配しているのは親だけじゃない。子どもだって、親がどこにいるのか心配してる」って言ったんです。僕は、その通りだなって思って。まっすぐで心に届いたんですよね。
山下:「総合的な学習の時間」は「ゆとり」を持たせないと成立しないということをお話ししてきましたが、子どもの成長も「親がずっと見ていてくれている」っていう時間的な豊かさとか心の余裕が必要だと感じています。親が自分を好きでいてくれている、気にかけてくれているといつも思えている子は、ポジティブな行動を取れたり、いろんなことに挑戦できたりする。 コミュニケーションって言語だけじゃないんですよね。何も言わなくても、そこにいる、つながってるって感じられることが子どもにとっては大事で。それを生み出せるのがハロファミの製品だと僕は思いました。 いま、保護者はみんな忙しくされていますし、物理的に子どもたちといられない方も多いです。でも、どこにいても何をしていても、家族がつながっていると感じられれば、離れている時間さえも、すごく豊かな時間になる。その豊かな土壌が子どもたちの力を育てていくように思います。
ハロファミ:ありがとうございます。それでは最後に、ハロファミについて一言コメントをいただけるとありがたいです。
山下:このボードに書くんですよね。漢字を書き間違えたらまずいのでちょっと調べますね(笑)。
「ハロファミは、子どもとの豊かな土壌を育む」
ハロファミ:山下先生、ありがとうございました。
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