ハローファミリー専門家に聞く
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 コクヨの家族見守りサービス「ハローファミリー」。その開発チームが、「仕事・学び・遊び」に奮闘中の親子を応援するため、子育てにIoTデバイスを取り入れるメリットや、効果的な使い方について、教育の専門家にうかがうシリーズ第2弾です。

今回は、「ベビーテック」という概念を日本に紹介し、2019年より「BabyTech® Awards」を主宰している株式会社パパスマイル代表取締役の永田哲也さんにお話しをうかがいました。お子さんが生まれたばかりの頃、自分で作ったアプリで授乳や睡眠を管理していたんだとか! デジタルツールを上手に育児に取り入れるヒントが満載です。


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大手通信会社、出版社勤務を経て独立。長女誕生を機に父親の育児参加の重要性と、デジタルで子育ての負担を減らせることに気づき、株式会社パパスマイルを設立。2017年にはまだ黎明期だったベビーテックの専門Webメディア「Babytech.jp」を開設。2019年には最初の「BabyTech® Awards」を開催。メディア出演、寄稿、講演なども多数。ベビーテック分野で新規事業を模索する企業へのコンサルティングやサポート事業を現在積極的に行っている。

永田哲也さん(以下、永田):夏休みが始まりましたねぇ。今日は妻が在宅勤務で家にいるんですが、子どもの宿題を見ながら仕事しています。私も「お父さんは品川で取材を受けてきます」と子どもに説明して家を出てきました。

ハロファミ:我が家も今日は子どもたちが家にいるんです。オンラインで取材に参加させてもらっていますが、隣の部屋にいるので、もしかしたら乱入してくるかもしれなくて。

永田:大丈夫です。お子さん大歓迎ですよ。長い夏休みをどう乗り切るか。本当に親は頭を悩ませますよね。

ハロファミ:そうなんです。今日は子育てをサポートするテクノロジーに詳しい永田さんに、デジタルツールを上手に取り入れるコツをおうかがいできればと思っています!

ハローファミリー開発ストーリー

ハロファミ:2024年4月から約3か月間、コクヨのパパママ社員にハロファミを使ってもらったのですが、アンケートの結果、ハロファミのデバイスが子どもの安心安全につながるだけじゃなく、パパママの仕事のモチベーションアップにもつながるということがわかったんです。

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永田:働くパパママにとって、知りたいときに、自分のタイミングで子どもの様子を知れたのが大きなメリットなのかなと思いました。外で働いているパパに言えることなんですが、子どもが学校から何時に帰ってきているのか知らない、子どもの生活リズムをまったく把握していないパパって多いんですよね。

永田:ハロファミは、ベースステーションであるハロモニやスマホアプリがログを取ってくれるから、パパが自分で一次情報にアクセスできますよね。子どもたちは3時頃に帰ってきているけど、今日は12時だったということがわかれば「今日、給食なかったの?」と声を掛けることもできる。子どもにとっては「パパもちゃんと自分のことを見てくれている」と信頼につながります。

永田:そういうささやかなコミュニケーションができていれば、家族のつながりって簡単には壊れないと思うんです。「週1回、家族会議をやっています!」っていうのは格好よく聞こえるんですけど、「上の子はエビフライのしっぽを食べるけど、下の子は食べない」みたいな話ってその会議では出てこないですよね。でも、家族のチームワークってそういうのが大事で。毎日5分でいいからコミュニケーションをとるほうが意味がある。

永田:ビジネスも家庭も「チーム」を作るという点ではすごく似ています。チームを強くするためにはコミュニケーションを増やす。でもそのためには自分のチームがどうなっているのかをまず知らなきゃいけないんです。その点でハロファミは、家族に関しての情報を根本的に底上げしてくれる、まさに家族をチームにするデバイスであると私は感じています。

ハロファミ:永田さんは、2019年から「BabyTech® Awards」を主宰されていますが、今注目されている新しいテクノロジーやサービスはありますか?

永田:ベビーテックという概念は、アメリカで生まれたものですが、最初は妊活妊娠、乳幼児期の子育てをサポートするテクノロジーという意味合いが強いものでした。でも最近は、インクルーシブ(包摂)という広い概念の中の1ジャンルととらえられています。インクルーシブに対するテクノロジーは、発達障害など「何らかの不自由を抱える子どもたちをサポートする」という方向にも進んでいます。日本でも、過去5年間のうちに200社近い多種多様な企業が「BabyTech® Awards」に参画し、サポートしてくれました。業界、業種を超えて日本でも非常に関心を集めている分野であると言えます。

永田:ハロファミのユーザーさんに近い、小学校低学年くらいまでのお子さん向けのサービスだと、教育分野のテクノロジーが多くなってきますね。あるいはハロファミのように留守番や外出をサポートするものであったり、ちょっとユニークなものだと、子どもの工作を3Dデータで残してくれるサービスもあります。

ハロファミ:3Dデータで残せるっていいですね! 我が家も子どもが大作を作ることがあるんですが、捨てないでと言われて。どんどん増えていくし、置き場所に困っていたんです。

永田:デジタルで「学びたい」「作りたい」「一人で出かけたい」「自分でやりたい」という子どもの主体性をサポートできるのがポイントかなと思います。インクルーシブについてもお話ししましたが、教育の個別最適化をテクノロジーで実現できている例もあります。たとえば、紙の本に印刷された文字が読めないお子さんでも、動画教材で学ぶことができたり。他にも、自閉症スペクトラムのお子さんが自分を引っ搔いてしまうという場合に、みかんの皮をむいている体感を得られるデジタルデバイスなどが、その代替行動として役に立っているという例もあります。

永田:今のパパママにとって、社会や企業から「育児と仕事を両立する」というお題目をわざわざ掲げられなくても、テクノロジーをうまく使って、もっと便利に楽しく子育てしようというのがあたりまえになりつつあると感じています。そういう意味では、ハロファミのような製品の市場は、今後ますます進化していくでしょうね。



ハローファミリー開発ストーリー

ハロファミ:今回のアンケートでは「離れている時の子どもの様子が詳しく知れる」「夫婦や家族で子に関して話す機会がある」という質問に「十分満足」「まあ満足」と答えたパパが、69%も増加したんです。パパに特に効果があったのはなぜだと思われますか。


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永田:今まで家族とどうコミュニケーションを取っていいのかわからなかったパパたちが、きっかけをつかんだのではないかと思います。ママたちは「パパは仕事に専念できていいわね」と思うことがあるかもしれませんが、外で働いているパパにとっては、家族って「ブラックボックス」なんです。中で何が起きているのか全然わからない。本当はもっと家族と関わりたいけど、わからないから仕事をするしかないと感じているパパも多いんです。そういうパパが情報を手に入れられたことが、この満足度につながったと思いますね。

ハロファミ:なるほど。関心がないんじゃなくて、今までどう向き合ったらいいのかわからなかったということなんですね。そんなパパたちが、育児や家事に参加しやすくするためのコツってありますか。

永田:パパに育児や家事を頼むなら、ママはお膳立てするのをやめるっていうのは大事ですね。お膳立てしちゃうと「いいとこ取り」してやった気になってしまう。たとえば子どもをお風呂に入れるというタスクだって「湯船に浸かって子どもと話して、泡をつけて洗っておしまい」と認識しているパパは多いと思います。でもそうじゃありませんよね。タオルや着替えを用意して「お風呂に入るぞ」と声をかけるところからタスクは始まっている。

永田:子どもを湯船からあげて、タオルで拭いて着替えさせる。ドライヤーで髪も乾かす。そこまでやってはじめて「お風呂に入れる」が完成するということを、できるだけ早くパパにわかってもらったほうがいいですね。

永田:「わからないから関われない」という話をしましたが、逆に言えば「知ってしまった瞬間、当事者にならざるをえない」んです。ママがお膳立てをしてしまうと、全体像をパパがいつまでも知ることができない、主体的に参加できない原因にもなる。結局、お膳立てするよりママがやったほうが早いからと、パパが蚊帳の外になるという悪循環を生んでしまうんです。

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ハローファミリー開発ストーリー

ハロファミ:以前、ハロファミについて永田さんからこのようなコメントをいただきました。「単品にはそれぞれ競合商品もあるが、連動したり、行動を記録しコミュニケーションにつなぐことができたり、スマートフォンを使わなくてもリモートのやり取りができるなど一体のツール群としてみるととても有用に感じる」
ハロファミは単品デバイスにはない連携ができるという自負があったのですが、そこに言及していただけたことが非常にうれしかったです。

永田:すばらしいのは、全部のデバイスにちゃんと共通の思想があるところですよね。「はろたぐ」と「はろここ」が別々に存在していることにちゃんと意味がある。子どもって「持っていくこと」よりも「持って帰ること」を忘れちゃう方が多い。親はそっちの方が困るんです。「これで傘をなくすの何回目?」なんていうのがある(笑)。どこに忘れてきたのかを知りたいとき「はろたぐ」と「はろここ」の組み合わせで知ることができるんですよね。使う子どもたちのことをすごくイメージされて作られていると思います。

ハロファミ:そうですね。スマホなら1台で済むのに、どうして4つもデバイスを作ったのかと言われることもあるんですが、子どもの生活状況や、発達段階に合わせたものを作ろうと考えると、スマホ1台では賄えないと思うんです。

永田:昨今、スマホを子どもに何歳から与えるかは親を悩ませる問題の一つですが、ハロファミを上手に使えば、子どもにスマホを与えるタイミングを遅らせることができると思うんです。それも利点の一つですよね。子どもの年齢が上がれば上がるほど、スマホを使う意味や、親の気持ちを理解できるようになる。だから約束事がちゃんと活きてくるんですよね。パスコードを親が管理したり、ペアレンタルロックをかけていたとしても、子どもを監視したいからじゃなくて、安全安心を守るためなんだということを理解できる。子どもとちゃんと一緒に約束事を作ってからスマホを渡せるようになると思うんです。

ハロファミ:なるほど。スマホを持たせる前に、子どもたちに家族のルールを伝えることができる。ハロファミがそういうデバイスになれるというのは新しい発見でした。

永田:そうです。デジタルデバイスも何でもそうなんですが、伝え方が9割なんです。何のためにこれがあるのか。何のために使うのか。そういうことを子どもに伝えられる、一緒に考えられるのがハロファミの良さだと思います。

ハロファミ:それでは最後に、ハロファミを使うことで育めるものは何だと思いますか。永田さんのご意見をあらためて教えてください。

永田:このボードに書くんですね。もう最初に言ってしまいましたけど、やっぱりこれですよね。

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「ハロファミは、家族をチームにする!」

ハロファミ:永田さん、ありがとうございました。

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