ハローファミリー専門家に聞く
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 2023年3月の「ハロファミ」スタートからおよそ1年、ユーザーのみなさまの声が開発チームに少しずつ届くようになりました。みなさまのお声から親子が日々直面しているリアルな悩みを知り、同じく子育て世代のチームメンバーは共感したり、あらたな課題を発見したりしています。

家族の絆も、仕事の充実も諦めたくない!——そんな親子をもっと応援するため、開発チームに何ができるかを考えました。子育てにIoTデバイスを取り入れるメリットや、効果的な使い方を教育の専門家に教えていただき、それを発信すればお役に立てるのではないか。ハロファミチームが厳選した教育のプロフェッショナルにお話をうかがいました。

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教育ジャーナリスト
1973 年京都市生まれ。1996 年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、子どものメンタル、子どもの英語教育、海外大学進学、 国際バカロレア等、教育分野を中心にさまざまなメディアで取材、執筆を続けてきた。

初の著書『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17 万部のベストセラーとなる。2023年より教育情報メディア「リセマム」の編集長に就任し、多様な進路や学びに関する有益 な情報の発信を通して、親子のよりよい選択をサポートしつづけている。一男一女の母。

ハローファミリー開発ストーリー

ハロファミ:働く親にとっては、対面でのコミュニケーションが難しいことがよくあります。「はろぽち」や「はろもに」のように、親のスマホにメッセージを送ることができるデバイスで、対面でなくとも子どもを応援したり、勇気づけたりすることは可能だと思われますか?

加藤:デジタルデバイスと対面のコミュニケーションに差があるかというのは、今、研究途上のテーマの一つですが、私が調べたところでは、まだ明確な答えは出ていないようです。生成AIが進化し、私たちの日常生活にも浸透していく中、そうした研究が今後は一層活発になってくるとは思います。現時点では、発達心理学などの研究で「コミュニケーションの質」の重要性について明らかになっています。親に共感してもらいながら話を聞いてもらうことが大事だと言うんですね。 同じ家の中で話をしていたとしても、スマホを見ながら適当に聞き流されているのではダメなんです。逆を言えば、たとえテキストのやりとりが中心であっても「共感してくれた」「しっかり聞いてもらえた」という気持ちを子どもが持つことができたら、それはとても良い影響を子どもに与えていると私は思うんです。

ハロファミ:親の口から出る言葉がいつも「勉強しなさい!」「ゲーム止めなさい!」ばっかりだと、それは子どもの話をしっかり話を聞いているということにはならないですよね。

加藤:親は言ってしまいがちですけどね、そういう一方的なメッセージばかりだと、子どもの気持ちは離れていくでしょうね。 でも、先ほど教えていただいたハロファミのユーザーのお声の中に「コミュニケーションがポジティブになった」というものがありましたよね。親子のコミュニケーションがポジティブになると、子どもの自己肯定感が高まり、学習意欲が芽生え、学習習慣がつき、学力も伸びる。そうした好循環を作ることができるという希望がハロファミのサービスにはあると思います。

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加藤:もう一つ、デジタルデバイスのいいところは「即時確認」ができることです。子どもの発話に対し、親がすぐに応答している家庭では、子どもの語彙力が高くなるという研究データがあるんです。「はろもに」に向かって子どもが話すことに対して、親が語彙を補いながら応答してあげることにも同じような効果があるように思います。子どもは「ヤバい~」くらいしか言わないかもしれないけれど「そういうことがあってとても困ったんだね」と補足したり、あるいは「え?それって嬉しいの?悲しいの?」って解像度を上げる質問をしてみたり、すぐに応答が返せるのはとてもいいですよね。

加藤:行動心理学の分野では「即時確認の原理」というのも知られています。フィードバックが早ければ早いほど、その行動に対するモチベーションが高くなるということです。「宿題やったよ」など自分が頑張ったことに対して、親からいつでも応答が得られるというのは、子どもにとっては安心できること。それが言語の発達や、学習へのモチベーションに良い影響を与えるということですね。 つまり、デジタルだから手抜きだということではないと思うんです。子どもへの共感があるかどうかが大事。共感さえあれば、デジタルでも良いコミュニケーションが可能だと私は考えています。

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ハロファミ:「親が安心したいだけ」ではなく「子どもの成長を応援するための見守り」を目指すとしたら、親はどんなコミュニケーションをとればいいでしょうか。

加藤:親が期待していることを子どもがしなかったとき、予期していなかった行動を子どもにされたとき、親が不満や不安を感じてしまうとどうしても「監視モード」になるんですよね。 「家に帰ってきたら宿題やるのがあたりまえだよね」とか「8歳なんだからこれぐらい理解できるはずなのにどうしてできないんだろう」とか、今や参照できる情報が多すぎる分、親の方が頭でっかちになってしまって、子どもの成長スピードがひとりひとり違うことや親のシナリオ通りにはならないことを忘れがちですよね。 監視モードを回避するためには「子どもを自分の思い通りにしようとしていないか」「子どもの主体性を大事にしようと思えているか」ということを判断基準として持っておくのがいいと思います。

ハロファミ:すごく、わかりやすいです。

加藤:社会で活躍している人たちを取材していると気づくことがあります。必ずしも子どもの頃から勉強ができたり、リーダーシップがあったりするわけではない。それどころか、大半の人が普通に通り過ぎていくところでひっかかって、つまずいてきた人が少なくないんです。「繰り上がり計算の繰り上がりって何?」とか「どうして定規の目盛りは0からはじまるの? 1じゃないの?」とか。そういう人たちも大人になり、自分の活躍できる場を発見できている。 親はすごく心配してしまうと思いますが、いちばん近くにいる親だからこそ、子どもの凸凹を認めてあげることが大事だと思うんです。心配じゃなく、一呼吸おく。そして「子どもは何を考えているのかな」「何をしたいのかな」と共感してあげることが、見守りになっていくんだと思います。難しいですけどね(苦笑)。

ハロファミ:子どもには子どもなりの理由がある、考えがあるということを親が忘れないことが大事ですね。ハロファミのデバイスを使うことが親の安心につながれば、心配しすぎて、子どもの放課後を全部習い事で埋めたりしないでよくなるんじゃないかなと思い描いています。 子どもが自分なりに考えて行動したり、やりたいことを見つけたり、主体的に過ごす時間をハロファミがサポートしできればいいなと。加藤さんのお話をうかがってあらためてそう思いました。

ハロファミ:最後に、ハロファミを使うことで育めるものは何だと思いますか。加藤さんのご意見を教えてください。

加藤:はい、このボードに書くんですね(笑)。ハロファミは――。

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ハロファミ:加藤さん、ありがとうござました。

取材・執筆 岡田寛子