2023年3月の「ハロファミ」スタートからおよそ1年、ユーザーのみなさまの声が開発チームに少しずつ届くようになりました。みなさまのお声から親子が日々直面しているリアルな悩みを知り、同じく子育て世代のチームメンバーは共感したり、あらたな課題を発見したりしています。
家族の絆も、仕事の充実も諦めたくない!——そんな親子をもっと応援するため、開発チームに何ができるかを考えました。子育てにIoTデバイスを取り入れるメリットや、効果的な使い方を教育の専門家に教えていただき、それを発信すればお役に立てるのではないか。ハロファミチームが厳選した教育のプロフェッショナルにお話をうかがいました。
教育ジャーナリスト
1973 年京都市生まれ。1996 年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、子どものメンタル、子どもの英語教育、海外大学進学、
国際バカロレア等、教育分野を中心にさまざまなメディアで取材、執筆を続けてきた。
初の著書『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17 万部のベストセラーとなる。2023年より教育情報メディア「リセマム」の編集長に就任し、多様な進路や学びに関する有益 な情報の発信を通して、親子のよりよい選択をサポートしつづけている。一男一女の母。
加藤紀子さん(以下、加藤):山本さんのお子さんって、今おいくつですか?
ハロファミ山本(以下、ハロファミ):長男が四月から中学生で、下の妹たちが双子なんですけど、小学3年生になります。
加藤:おぉ……。双子を育てていらっしゃるんですね。第一線でお仕事をしながら3 人の お子さんを子育て中とは、それだけで尊敬してしまいます。
ハロファミ:とんでもない。まわりに頼ってばかり、迷ってばかりの母親です。今日は加藤さんにいろいろご相談できたらうれしいです。
ハロファミ:ハロファミの掲げるコンセプトの一つに「近くても離れていても小さなタッチポイントを作り出し、家族のコミュニケーションを増やす」というものがあります。それは、私自身が「子どもともっと話したい」というのが悩みだったからなんです。同じように「子どもとのコミュニケーション不足」に悩む親に向けて、何かアドバイスをいただけたらと思っています。
加藤:私も子どもたちが小さいうちは悩んでいました。対話のつもりが、いつのまにかバトルになってしまうことも結構ありましたね(笑)。『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)を書いた時は、自分の子育てを振り返りながら、「申し訳ないことをしたなぁ」と反省することも多かったです。ですからこの本で、100あるテーマの中から冒頭に「対話」を置いたのは、一番大事なことはやっぱり「コミュニケーション」だったと思うからなんです。コミュニケーションは、毎日少しずつでも、長い時間をかけて積み上げていくことが大切なんですよね。
ハロファミ:親子のコミュニケーションは、子どもの成長にどんな影響を与えますか?
加藤:少し古いデータではありますが、「脳トレ」で知られている川島隆太先生を中心とした東北大学加齢医学研究所と仙台市の研究データをご紹介します。すごく丁寧な調査を続けておられ、一般の人にもわかりやすい資料なので、私もよく参照しているものです。
加藤:上記のグラフは、仙台市の小5~中3の児童を対象に「子どもの学習意欲や学習態度には何が影響しているのか」を調査した結果の一部です。成績上位層のグループの児童は下位層のグループに比べ、「家の人に話をしっかり聞いてもらっている」と感じていることがわかりますね。家族とのコミュニケーションが子どもの学力に大きな影響を与えているということです。
一方、同研究所の調査報告の平成27年度版では、家族のコミュニケーションが「自己肯定感」にも影響を与えると指摘しています。
加藤:つまり、親子のコミュニケーションが活発になると、子どもの自己肯定感が上がる。その結果、学力も伸びるということです。親子のコミュニケーションを増やすハロファミのサービスは、子どもの安全や安心をサポートするのはもちろんですけれど、自己肯定感を育てるツールと言ってもいいと思います。
取材・執筆 岡田寛子
前回
次回